「抽象」と「概念」の違い|思考が一気にクリアになる基礎
「抽象」と「概念」。
似た雰囲気の言葉だけど、実はまったく役割が違います。
思考力・文章力・アイデアづくり…こうした“頭を使う作業”の土台になる基本でもあります。
でもいざ説明しようとすると、どっちがどっちだっけ?となりがち。
この記事では、哲学やロジカル思考の基礎から、日常の仕事にどう使うかまで、ムリなく理解できる形で整理していきます。
🧩 「抽象」と「概念」の違い(まず一番わかりやすく)
■ 抽象(ちゅうしょう)
具体的な情報をいったん取り除き、共通点を抜き出してまとめる作業そのもの。
■ 概念(がいねん)
抽象という作業の結果として生まれる、意味のまとまり・ラベル。
つまり?
・抽象=プロセス(やること)
・概念=結果(生まれる意味)
🧠 1. 抽象とは?(行為・プロセスの言葉)
複数の事例から共通点を取り出し、ひとつ上の理解へまとめる思考の作業です。
◆ 例
- イヌ・ネコ・ハムスター → 「ペット」
- りんご・バナナ・ぶどう → 「果物」
- 走る・泳ぐ → 「移動」
◆ ビジネスでのメリット
- 本質が見えるようになる
- 説明が短くわかりやすくなる
- 情報の整理が早い
- 再現性が上がり、仕組み化しやすい
抽象は“頭の中の整理術”。仕事の質が一段上がる基礎になります。
🧩 2. 概念とは?(意味内容・ラベルの言葉)
抽象の結果としてつくられる「物事の意味の枠組み」。
対象が目の前になくても話せる“共通言語”のようなものです。
◆ 例
- 自由
- 幸福
- 効率
- サービス
- コミュニケーション
◆ 概念の役割
- 物事を整理するラベルになる
- 人と話すときの共通の土台になる
- 企画や議論を進める軸になる
🆚 3. 「抽象」と「概念」の違い(比較で一発理解)
| 項目 | 抽象 | 概念 |
|---|---|---|
| 種類 | 思考のプロセス | プロセスの結果 |
| ニュアンス | まとめる・共通点を抜く | 意味のまとまり・ラベル |
| 例 | 犬と猫をまとめて「動物」にする | 「動物」という意味内容 |
| ビジネスでの役割 | 本質の発見・整理 | 会議や企画の共通言語 |
| 誤解 | 「抽象=曖昧」ではない | 「概念=ぼんやり」ではない |
🏢 4. ビジネスではこうやって使い分ける
抽象と概念は“階段”のようにつながっています。
- 具体例を集める
- 共通点を抽き出す(=抽象)
- 意味としてまとまった枠が生まれる(=概念)
◆ 例:クレーム対応を整理すると
- 具体:遅延、破損、伝達漏れ、接客態度
- 抽象:顧客不満・品質問題
- 概念:顧客満足度(CS)
階段を上がるように整理すると、改善も仕組み化も一気にラクになります。
✍️ 5. 例文で見たほうが早い
■ 抽象(行為)
- 「もっと抽象度を上げて話そう」
- 「この事例を抽象化すると見えてくるよ」
■ 概念(意味・ラベル)
- 「このサービスの中心となる概念は『安全性』です」
- 「まず概念を定義してから企画を作ろう」
🧨 6. よくある勘違い
❌「抽象=難しい言葉」ではない
抽象は“作業”。難易度とは無関係。
❌「概念=ふわっとした話」ではない
概念は本来“意味がはっきりしているもの”。
📚 7. 迷ったらこう判断すればOK
▶ 行為を言っている → 抽象
- 共通点を取る
- 整理する
- 視点を上げる
▶ 意味内容を語っている → 概念
- ラベル化したい
- 定義したい
- 議論の軸を作りたい
✔ まとめ(イメージでつかむ)
■ 例え
・抽象=果物をザルに集めて「似てるものだけを選ぶ作業」
・概念=そのあと「これを果物と呼ぶ」と決めたラベル
■ 一行まとめ
・抽象=共通点を抜き出すプロセス
・概念=その結果できた意味のまとまり
ここが理解できると、企画・分析・文章づくりがぐっとクリアになります。
考えることが今よりスムーズになって、発想の扱いやすさも一気に変わってきます。



コメント