「今回のクライアントの要望は……」
「カスタマーサポートの対応を……」
入社してすぐの会議で、当たり前のように使い分けられる「お客様」の呼び方。
当時の私は、「どっちも同じ意味では?」と、その言葉の裏にある重みの違いに気づいていませんでした。
ある時、広告業界の先輩に「あのお客様が……」と話したところ、
「この仕事では『クライアント』と呼ぶのが基本だよ。単なる売り買い以上の関係だからね」と教えられました。
実はこの2つの言葉は、「相手とどんな関係性で仕事をしているか」によって使い分けられています。
この記事では、「クライアント」と「カスタマー」の違いと、業界ごとの正しい呼び方を、実体験を交えて解説します。
クライアントとカスタマーの違い|定義と関係性
まずは、それぞれの言葉が持つ意味とニュアンスを整理しましょう。
カスタマー(Customer)
- 商品やサービスを購入する「買い手」
- 不特定多数の中の一人という位置づけ
- 取引そのものが関係の中心
コンビニ、飲食店、アパレルショップなどの利用者は、一般的にカスタマーと呼ばれます。
クライアント(Client)
- 専門的なサービスを依頼する「依頼人」
- 課題解決を共に行う関係
- 長期的な信頼関係が前提
広告代理店、コンサル、弁護士、Web制作などの取引先は、クライアントと呼ばれることが多いです。
私の実体験|呼び方で変わった責任感
BtoBの現場で「カスタマー」という言葉を使っていた際、上司からこう言われました。
「彼らは単なる買い手じゃない。僕らを頼ってくれているクライアントだ」
その一言で、求められているのは作業ではなく成果だと意識が変わりました。
呼び方ひとつで、仕事への向き合い方まで変わることを実感した出来事です。
違いが一目でわかる比較表
| 項目 | カスタマー | クライアント |
|---|---|---|
| 日本語の意味 | 顧客・消費者 | 依頼人・取引先 |
| 主な業界 | 小売・飲食・サービス業 | IT・広告・士業・コンサル |
| サービス内容 | 既製品・定型サービス | 専門的・オーダーメイド |
| 関係の長さ | 短期から中期 | 長期・継続 |
| 重視される要素 | 価格・利便性・スピード | 信頼・成果・専門性 |
業界別|呼び方のルールと注意点
IT・Web業界
サービスを使う人は「ユーザー」、
契約している企業や依頼主は「クライアント」と呼び分けるのが一般的です。
医療・福祉業界
「患者」「利用者」など、対等な立場を意識した呼び方が増えています。
社外対応での基本ルール
社内でどんな呼び方をしていても、
社外では必ず「〇〇様」や「お客様」を使います。
「クライアント様」という表現は不自然に聞こえるため、使わない方が無難です。
まとめ|呼び方は仕事への姿勢を表す
カスタマーは商品やサービスを購入する顧客。
クライアントは課題解決を共に行う依頼人。
あなたが今日向き合う相手は、どちらでしょうか。
呼び方を意識するだけで、提供すべき価値や責任の重さが見えてきます。
まずは職場で、先輩たちがどんな言葉を使っているか観察してみてください。
その言葉選びの裏に、プロとしての考え方が詰まっています。
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