仕事の報告書や打ち合わせで、よく出てくるのが「改善」と「改良」。
どちらも“良くする”方向の言葉だけど、実は向いているベクトルがまったく違います。
現場・営業・製造・サービス…どの仕事でも使う言葉だからこそ、使い方を間違えると伝わり方が変わってしまうんですよね。
この記事では、意味の違いから使い方、例文、メール文への落とし込みまで、迷わず使える形でまとめました。
改善とは?
現状の問題を取り除いて、より良い状態に近づけること。
ポイントは “課題の解消” が中心にあるところです。
改善の特徴
- 不具合・欠点・課題をなくす方向の変化
- 小さな調整でもOK
- ゼロに戻す・プラスに近づけるイメージ
改善の例文
- クレーム件数を減らすため、対応手順を改善しました。
- 納期遅延の原因を洗い出し、工程を改善しています。
- レイアウト見直しにより、作業効率が改善されました。
改良とは?
今すでに機能しているものを、さらに良くするために手を加えること。
いわば“アップグレード”のような動きです。
改良の特徴
- 品質や性能をもっと高める方向の変化
- 新しい価値や機能を付ける
- 現状に問題がなくても実施できる
改良の例文
- 耐久性を高めるため、素材を改良しました。
- アプリの操作性向上のため、インターフェースを改良しました。
- 従来モデルより30%軽量化した改良版をリリースしました。
二つの違いをひと言でまとめると
- 改善:欠点をなくす
- 改良:さらに良くする
問題解決を言いたいなら改善。
機能や質を高める話なら改良がしっくり来ます。
メール文での使い分け例
改善(問題解決系)
- お問い合わせ対応で遅れが出ていたため、フローを改善いたしました。
- 今回の振り返りを踏まえて、サービス品質の改善に取り組みます。
改良(性能アップ系)
- お客様の声をもとに、製品仕様を一部改良し、次回ロットより反映いたします。
- 操作性を改良した新バージョンを来月リリース予定です。
よくある誤用
- × 製品の不具合を改良します
→ 不具合を直すのは改善。 - × 既存モデルのデザインを改善しました
→ 悪い部分を直したなら改善でOK。
→ “より良くした”意味なら改良のほうが自然。
迷ったときの判断軸
文章を読み返して、自分にこう聞くと整理しやすいです。
- “問題を取り除く話?” → 改善
- “今より高品質にしたい話?” → 改良
比較まとめ表
| 改善 | 改良 |
|---|---|
| 問題点をなくして良い状態へ | 品質や性能をさらに高める |
| 課題・不具合が起点 | 現状でも機能しているものが起点 |
| 不便の解消・効率化 | 高機能化・価値アップ |
| クレーム、遅延、業務効率など | 製品開発、品質向上、アップデートなど |
| 例:作業フローの改善 | 例:製品仕様の改良 |
まとめ
「改善」は、問題を取り除いて“元気な状態に戻す”ようなイメージ。
「改良」は、今あるものを“もっと良くする”ためのステップアップ。
どちらも前向きな言葉だけど、目的と出発点が違うだけで印象が大きく変わります。
文章を書くときは、
「課題を直す話なのか?」
「一段上を目指す話なのか?」
この2つを意識すると迷わなくなります。


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