ビジネスメールで「ご理解ください」「ご了承ください」を何となく使い分けていると、相手に誤解を与える場合があります。両者は似て見えますが、了承=承認して受け入れること、理解=内容を正しく分かること、と意味が大きく異なります。ここでは、その違いを明確にしながら、実務で使いやすい例文や言い換えもまとめて解説します。
了承とは|承認して受け入れること
了承は、相手が内容を確認し、問題ないと判断した上で受け入れることを指します。これは単なる「知る」「把握する」ではなく、意思決定を伴う行為です。
了承が使われる場面
- 決定事項を伝えるとき
- スケジュール変更の承認依頼
- 仕様変更の確認
- 調整案を受け入れてもらう時
了承の例文
- ご提示の条件で了承いたしました。
- ご提案内容について、社内にて確認し了承を得ました。
- 納期変更につきまして、ご了承いただけますと幸いです。
理解とは|内容を正しく把握すること
理解とは、事情・背景・内容を「分かること」を指します。了承のように承認の意味は含まれません。あくまで事実の把握が目的です。
理解が使われる場面
- 資料や方針の説明を読むとき
- トラブル原因の共有
- 背景説明が必要なとき
- 事情を把握してもらいたいとき
理解の例文
- 上記の事情につきまして、ご理解いただけますと幸いです。
- 記載内容をご確認いただき、まずは理解のほどお願いいたします。
- 今回の対応の背景について、ご理解いただければ幸いです。
ありがちな誤用例
承認が必要なのに「ご理解ください」を使う
誤:納期変更となりますので、ご理解ください。
正:納期変更となりますため、ご了承いただけますでしょうか。
事情を伝えたいだけなのに「ご了承ください」を使う
誤:当日の参加メンバーは変更になる場合があります。ご了承ください。
正:当日の参加メンバーは変更となる可能性があります。ご理解ください。
相手に強く聞こえる表現
誤:こちらの都合により対応できません。ご了承ください。
正:こちらの都合により対応が難しい状況です。ご理解いただけますと幸いです。
了承と理解を迷わないための言い換え
承認が必要なとき(了承)
- お受けいただけますでしょうか。
- 問題なければ進めてよろしいでしょうか。
- ご了承いただけますと幸いです。
- ご承知おきください。(やや堅めの表現)
事情を把握してほしいだけのとき(理解)
- ご確認のうえ、ご理解いただければ幸いです。
- 上記事情をご理解いただけますと幸いです。
- 本件につき、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
実務で使える例文セット
スケジュール変更のメール
いつもお世話になっております。Aプロジェクトの進行に伴い、仕様変更が必要になっております。まずは上記の経緯についてご理解いただけますと幸いです。つきましては、スケジュールを以下の日程に変更したく存じます。差し支えなければ、ご了承いただけますでしょうか。
トラブル報告メール
今回の不具合につきまして、原因を調査した内容を共有いたします。まずは状況をご理解いただけますと幸いです。再発防止策については以下の通り実施いたしますので、こちらで進めることについてご了承ください。
了承と理解の明確な違い
| 用語 | 核心 | 目的 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 了承 | 承認すること | OKを得る | 変更や判断が必要な場面 |
| 理解 | 内容を分かること | 事情の共有 | 説明や背景の把握 |
まとめ|了承=承認、理解=把握
了承と理解は似て見えますが、本質はまったく異なります。了承は承認、理解は内容の把握。この違いを押さえることで、メールの誤解は大幅に減らせます。ビジネスの現場では正確な使い分けが求められるため、日々のやり取りの中で意識して活用することが重要です。



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