ビジネス文書や会話でよく見聞きする「改める」と「改まる」。一見似ていますが、意味も使い方も異なります。違いを正しく理解することで、文章力や印象を大きく向上させることができます。
結論:能動と受動の違い
- 改める:自分の意思で変える(能動)
- 改まる:自然に・結果として変わる(受動)
「改める」は意識的な行為を、「改まる」は自然や状況の変化を表します。
「改める」の意味と使い方
意味:悪い点や古い習慣を直して、より良い状態にすること。
例文:
- 態度を改める。
- 計画を改める。
- 名称を改める。
「改める」は、個人や組織が自発的に行動を変える場面で用います。
「改まる」の意味と使い方
意味:状態が整ってきちんとした様子になる、または形式ばること。
例文:
- 雰囲気が改まる。
- 表情が改まる。
- 年が改まる。
「改まる」は、時間の経過や場の空気など、自然な変化を指す際に適しています。
ニュアンスの違いを比較表で確認
| 観点 | 改める | 改まる |
|---|---|---|
| 主体 | 人(自分・他者) | 状況・時間 |
| 意図性 | 強い(意識的) | 弱い(自然的) |
| 用法 | 動作・行動 | 状態・雰囲気 |
| 英語 | change / correct | be renewed / be improved |
ビジネスでの誤用例
❌「この度、態度を改まります」
→ 主語が自分の場合は「改めます」が正解です。
✅「この度、態度を改めます」
✅「式典では改まった服装で出席します」
前者は「行動を直す」、後者は「形式を整える」という意味になります。
「改める」を使うビジネス表現
- 改めてご連絡いたします。
- 改めて検討いたします。
- 改めて感謝申し上げます。
「改めて」は「いったん置いて再び行う」という意味で、「再度」「再び」よりも丁寧な響きを持ちます。
「改まる」を使うフォーマル表現
- 改まった場ではスーツを着用してください。
- 新年が改まりました。
「改まる」は儀式や節目など、形式的・社会的な文脈に自然に馴染みます。
関連語との違い
| 語句 | 意味 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 改める | 意識的に直す | 行動・方針の変更 |
| 改まる | 状態が整う | 年始・儀式・態度 |
| 改善する | よくする | 業務・制度 |
| 直す | 修正・修理する | 日常的な場面 |
| 改修する | 構造物を修理する | 建物・設備など |
使い分けのポイント
- 主体を確認する:自分・人=改める / 状況・時間=改まる
- 文脈のトーンを見る:ビジネス=改める / 儀式=改まる
- 動作と状態を区別する:動作→改める / 状態→改まる

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まとめ
| 比較 | 改める | 改まる |
|---|---|---|
| 意味 | 意識的に変える | 自然に・形式的に変わる |
| 用法 | 能動(行動) | 受動(状態) |
| 例文 | 態度を改める | 年が改まる |
| 誤用注意 | 改まります(×) | 改めます(〇) |
「改める」は意識的な変化を示し、
「改まる」はその結果や環境の変化を穏やかに表す言葉です。
出典
- 文化庁|ことばのQ&A
- NHK放送文化研究所|ことばのハンドブック
- 三省堂 大辞林 第三版
- 明鏡国語辞典 第三版(大修館書店)
- 日本語文法辞典(くろしお出版)


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