プロジェクトの打ち合わせで「それ、前提?それとも条件?」と迷ったことはありませんか。私も若手の頃にこの違いを曖昧にしてしまい、認識ズレでスケジュールが狂った経験があります。この記事では、実務で混同しないための定義、具体例、よくある誤り、そして会議・資料で使えるテンプレまでを、読みやすく整理してお届けします。今日から使える実践的な内容です。
前提とは──“変わらない土台”
定義:前提は、計画や議論が成り立つための土台となる事実や条件で、原則として変更しない前提で進められるものです。前提が崩れるとプロジェクト全体を再設計する必要が出ます。
前提の特徴
- プロジェクトの土台となる(例:提供形態、対象、納期など)
- 原則として変更すると影響が大きい
- 初期段階で明確化して共有しておくべき
前提の業務例
- 「本プロジェクトはオンライン提供を前提とする」
- 「納期は3月末で変更できないことを前提に見積もる」
- 「メンバーは3名で固定という前提で計画している」
条件とは──“成立のための可変ライン”
定義:条件は、目標を実行するために満たすべき要件や基準で、状況や交渉に応じて調整可能なものです。条件が揃えば次へ進める、という性質を持ちます。
条件の特徴
- 達成のためのチェック項目(例:予算、ロット数、工数)
- 交渉や調整で変更可能
- 要件定義や契約で明確に扱うべき
条件の業務例
- 「発注はロット数100以上が条件です」
- 「開始条件が整い次第、工程を進めます」
- 「レビューは3回までを条件とする」
前提と条件の違い(早見表)
| 観点 | 前提 | 条件 |
|---|---|---|
| 定義 | すでに決まっている事実・土台 | 満たすと実行できる要件・基準 |
| 変更可否 | 基本的に変えられない(変わると設計が崩れる) | 交渉・調整で変えられる |
| 役割 | プロジェクトの土台 | 実行のためのチェック項目 |
| 典型例 | 納期、提供形態、対象 | 予算、工数、ロット数、レビュー回数 |
よくある混同パターンと正しい使い方
- 誤:「前提条件」という曖昧なまとめで放置する → 正:前提と条件を分けて書く
- 誤:「納期は短いという条件で作業します」 → 正:「納期が短いという前提で作業します」
- 誤:「開始前提が揃いましたら…」 → 正:「開始条件が整いましたら…」
会議・資料で使えるテンプレ
以下はそのまま使える自然な書き方です。
- 前提:「本件は、◯◯を前提として進めます。」
- 条件:「作業開始の条件が揃い次第、次工程へ移行します。」
前提と条件を見抜く簡単チェック(若手向け)
- 最初から決まっていたか? → YES → 前提
- 達成のために満たす基準か? → YES → 条件
トラブル例と改善例
事例:「納期は相談可能」と共有されていたが、チームは“固定”と認識していたため工程が破綻。
改善:次回からは議事録に「前提:納期は○○(固定/調整可)」と明記し、サイン/返信で合意を取る。
まとめ
- 前提=プロジェクトの土台(原則変えない)
- 条件=達成のための要件(交渉・調整が可能)
- 資料作成や会議では、この二つを明確に分けて記載することで、認識ズレと手戻りを大幅に減らせます。
言葉を正しく使い分けられるようになると、説明が短くても伝わるようになります。まずは次の会議から「これは前提ですか?それとも条件ですか?」と一言確認してみてください。効果はすぐに実感できるはずです。
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