「経費で落とす」と「控除を受ける」。どちらも税金を安くする方法として知られていますが、その仕組みはまったく異なります。
この違いを理解していないと、経費にできないものを経費にしようとして否認されたり、本来受けられる控除を見逃して損をしたりする可能性があります。
この記事では、節税の基本となる「経費」と「控除」の違いを、流れに沿って分かりやすく解説します。
まず全体の流れを理解しよう
税金は次の順番で計算されます。
① 売上 − 経費 = 所得
② 所得 − 所得控除 = 課税所得
③ 課税所得 × 税率 = 税額
つまり、経費は「所得を出す前」に引くもの、控除は「所得が出た後」に引くものです。
経費とは?
「経費」とは、売上を上げるために直接必要だった支出のことです。事業活動に関係するコストのみが対象になります。
経費の特徴
- 事業に関連する支出のみ認められる
- 自分で記録・保管(領収書など)が必要
- 売上から差し引かれ、所得を決定する
経費の例
- パソコンやソフトウェア代
- 打ち合わせの飲食代(会議費)
- 事務所家賃や光熱費の事業按分分
- 広告費・通信費
経費が増えると、所得は小さくなります。
控除とは?(所得控除)
「控除」とは、個人の事情に配慮して所得から差し引かれる制度です。事業に関係するかどうかは問いません。
控除の特徴
- 法律で定められた要件を満たすと適用される
- 所得が確定した後に差し引かれる
- 最終的な課税所得を減らす役割を持つ
主な所得控除の例
- 基礎控除(原則すべての納税者が対象)
- 配偶者控除・扶養控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 医療費控除
- 寄附金控除(ふるさと納税など)
控除は「所得をゼロに近づける仕組み」であり、税額を直接引くものではありません(※一部の税額控除を除く)。
経費と控除の違いを比較
| 項目 | 経費 | 控除(所得控除) |
|---|---|---|
| 性質 | 事業運営のためのコスト | 個人事情への配慮制度 |
| 対象 | 仕事に直接必要な支出 | 家族・保険・医療・寄付など |
| 差し引くタイミング | 売上から引く(所得算出前) | 所得から引く(税率計算前) |
| 効果 | 所得を減らす | 課税所得を減らす |
| 管理方法 | 日々の記帳・証憑管理 | 証明書の保管・申告時の記載 |
知っておきたい「節税」の優先順位
① まずは経費を正しく計上する
経費は日々の積み重ねです。記帳漏れがあると、その分だけ所得が増え、税金も増えます。ただし、事業と無関係な支出を経費にすることはできません。
② 次に控除を活用する
ふるさと納税やiDeCoなどは、自分で行動しなければ受けられない控除です。経費ではありませんが、課税所得を下げる有効な方法です。
③ 最後に考えるべきは「税率」
所得税は累進課税です。所得が増えるほど税率も上がります。経費と控除を適切に使うことは、税率ゾーンをコントロールすることにもつながります。
まとめ
- 経費:売上を得るために使った事業コスト
- 控除:所得から差し引ける制度上の減額枠
経費と控除は似ているようで、役割もタイミングもまったく異なります。
この2つを正しく理解し、日頃から整理しておくことで、納税額を適正にコントロールできるようになります。確定申告の直前に慌てないためにも、今のうちから自分の支出を見直してみましょう。


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