ビジネスメールや日常会話で耳にすることの多い「おざなり」と「なおざり」。
響きが似ているため、つい同じような意味で使ってしまいがちですが、実は大きく異なります。
私自身も社会人になりたての頃、何気なく使った表現を上司に指摘され、恥ずかしい思いをした経験があります。
それ以来、「ちゃんと理解して使い分けないと信頼を失うこともあるんだ」と痛感しました。
本記事では、そんな混同しやすい「おざなり」と「なおざり」の正しい意味と使い分け方を、例文や図解を交えて分かりやすく解説します。
この記事を読み終えた頃には、迷わず自然に使えるようになっているはずです。
「おざなり」とは
「おざなり」とは、その場しのぎで適当に物事を処理することを指します。
語源は江戸時代の「御座(おざ)」に由来し、宴席で料理が粗末だった様子から転じて、
「いい加減」「その場限り」という意味で使われるようになりました。
「おざなり」の使用シーン
- 会議の議事録を適当にまとめてしまったとき
- 相手の要望に表面的に対応したとき
- 報告書を確認せずに提出したとき
「おざなり」例文
・「おざなりな対応をしてしまい、取引先の信頼を損ねた。」
・「説明があまりにもおざなりで、理解が深まらなかった。」
私自身も新人時代、メールの返信をおざなりに済ませてしまい、
後から「どうして確認してくれなかったのか」と指摘を受け、
信頼を回復するまでにかなりの時間がかかった苦い経験があります。
「なおざり」とは
「なおざり」とは、物事を軽視して放置することを意味します。
「なお(猶)」=「そのまま」に由来し、
「そのまま放っておく」「いい加減に放置する」というニュアンスを持ちます。
「なおざり」の使用シーン
- 報告を求められていたのに、そのまま忘れてしまったとき
- 学習や研修を怠り、放置してしまう場合
- 依頼された仕事を後回しにしてしまう場合
「なおざり」例文
・「顧客への連絡をなおざりにした結果、クレームにつながった。」
・「健康管理をなおざりにすると、大きな病気につながりかねない。」
正直に言うと、私も研修資料の提出をなおざりにしてしまい、
上司から「社会人として一番やってはいけないことだ」と強く注意されたことがあります。
その経験以来、放置と手抜きの違いを意識するようになりました。
「おざなり」と「なおざり」の違い
表現 | 意味 | 使用場面 |
---|---|---|
おざなり | その場しのぎ・適当に対応すること | 形だけ対応する、いい加減に処理する |
なおざり | 放置する・軽視して行動しないこと | 依頼を放置、重要なことを無視する |
要するに、「おざなり」は“雑にやる”、一方「なおざり」は“やらない”という違いです。
音は似ていますが、意味は大きく異なるので注意しましょう。
「おざなり」と「なおざり」誤用に注意すべきポイント
- 「おざなり」と「なおざり」は音が似ているため、つい混同しやすい。
- おざなり=その場しのぎ、なおざり=放置とワンフレーズで覚えるのがコツ。
- ビジネスシーンで誤用すると、「言葉を知らない人」という印象を与えかねない。
特にメールや会議など、正式な場面で使い間違えると信頼を損なう恐れがあります。
逆に正しく使い分けられると、「この人は言葉にきちんと気を配れる人だ」という好印象につながります。
「おざなり」と「なおざり」の例文比較
表現 | 良くない例文 | 状況・ニュアンス |
---|---|---|
おざなり | 「会議の議事録をおざなりにまとめてしまい、内容が不十分だった。」 | 形だけ対応して“雑にやった”ケース。やったこと自体はあるが質が低い。 |
なおざり | 「顧客からの問い合わせをなおざりにした結果、クレームにつながった。」 | 必要な対応を“放置した”ケース。そもそも行動に移していない。 |
このように、「おざなり」は雑に済ませる、「なおざり」は放置すると覚えておくと、ビジネスシーンでも迷いにくくなります。
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まとめ|「おざなり」と「なおざり」を正しく使い分けよう
- 「おざなり」=その場しのぎ・雑に対応すること
- 「なおざり」=放置・軽視して対応しないこと
- 響きは似ていても意味は大きく異なるため、混同すると誤解や失礼につながる
言葉のニュアンスを正しく理解して使い分けるだけで、文章表現の精度はぐっと上がります。
特にビジネスメールでは相手への印象を大きく左右するため、ぜひ日常的に意識してみてください。
本記事をブックマークしておけば、迷ったときのリファレンスとしてすぐ確認できます。
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参考文献・引用元
・文化庁「国語施策情報システム」
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/・三省堂国語辞典 第七版
・NHK放送文化研究所「日本語の誤用」コラム
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