ある日、「とんとんとうまい具合に進んでね」と話の中で口にした私に、「お母さん、『とんとん』って何??」と長女さんに質問されてしまいました。
「とんとん」という言葉。皆さんも使ったことありますよね??
でもその「とんとん」って、ちょっと不思議な音だと思いませんか?
「とんとん」とは?とんとんの意味
「とんとん」を辞書で引いてみると、次のような意味が書かれていました。
「とんとん」【副詞】
物を続けざまに軽く叩く音を表す語。「ドアをとんとん(と)ノックする」「階段をとんとん(と)上がる」
物事が滞ることなく進むさま。「縁談がとんとん(と)まとまる」
「とんとん」【形動詞】
ふたつのものがほとんど同じで差がないさま。また、損得のないさま。「実力はとんとんだ」「収支はとんとんになる」
ちなみに、私が会話の中で口にした「とんとん」は「2」の意味で使っていました。
とんとんの語源
「とんとん」とは、舞台の上で、足を軽快にリズムよく踏む時の音が由来していると言われています。調子よく足音を「とんとん」慣らして床を踏むさまが → 順調 → そのように順調に舞台が進んで行くことから、「ものごとがうまく運ぶ」「調子よく進む」という意味合いに転化していったということです。私が使った「2」の意味がまさにこれです。
また、この語源から、一定の足裁きでリズムよく音が出ることから「両者のバランスがよく取れている」という状態を指すようにもなったと言われています。そんな意味合いから「二つの対極のものが、同じくらいにつりあう様子」というような意味合いを持つようになりました。これが、上に書いた「実力はとんとん」や「収支はとんとん」という意味になります。
とんとんの類義語
「とんとん」と似たような意味合いで使われる言葉は他にもあります。ここでは、いくつか例をあげながら類義語を見ていきたいと思います。
プラスの要素とマイナスの要素がちょうど打ち消しあい、結果としてゼロとなること。
「足し引きゼロ」
「差し引きゼロ」
「損も得もしない」
「相殺」
「チャラ」
実力や勢力が同程度である様子。
「伯仲する」
「フィフティフィフティ」
「同等」
「対等」
「引き分け」
「ドロー」
「均衡を保つ」
「拮抗」
「互角」
分量や割合が等しい、またはほぼ等しい様子
「イコール」
「半々」
「均等」
「均一」
「半分」
物事のバランスがよい状態になること
「均衡状態になる」
「釣り合いが取れる」
「平衡状態になる」
「いいさじ加減になる」
「釣り合う」
「調和が取れる」
「偏りがない」
とんとんの使い方【例文有り】
二つの対極にある物が同じくらいに釣り合う様子 を意味する例文
・今月の売り上げから、仕入れと人件費を引くと、収支はとんとんになります。
・来年黒字にする為にも、今年はせめてとんとんにしたい。
・いつも君にたすけて貰ってばかりだったから、とんとんにできてよかったよ。
ものごとや出来事がスムーズに進行する様子 を意味する例文
・面接で話はとんとん拍子に進み、今の会社に入社できた。
・思いがけず、話がとんとん拍子で進む。
・とんとんと進んでいた話が、突然、暗転する。
方言のとんとん
ところで、少し余談になるのですが、この「とんとん」。地方によって方言として使われているところがある事をご存知でしょうか?
その地域での「とんとん」は、今まで伝えてきた「とんとん」とは全く違った意味で使われていたりします。なんだか面白かったので、ここで紹介してみたいと思います。
・岐阜県の「とんとん」
岐阜県周辺では、鉛筆が鋭くとがれ、とがっている状態のことを「とんとん」と表現するのだそうです。
「この鉛筆、とんとんにして!(削ってとがらせて)」
・沖縄県の「とんとん」
正しくは「トントンミー」というのですが、沖縄で取れるある魚のことを地元の人たちは「トントンミー」と呼んでいるそうです。このトントンミー、別名を「ミナミトビハゼ」といい、ハゼ科の魚で、体調は15cm程度です。沖縄の干潟やマングローブの林の中でよく見つけることができる魚だということです。この「トントンミー」他の魚と異なり、エラ呼吸だけではなく、皮膚呼吸能力が高いのだそう。なので、干潟のような泥の地上でも生きることができるのだそうです。
以上、「とんとん」の余談でした(^^)
まとめ
・「とんとん」には「物を続けざまに軽く叩く音を表す語」「物事が滞ることなく進むさま」「ふたつのものがほとんど同じで差がないさま」の意味がある。
・「来年黒字にする為にも、今年はせめてとんとんにしたい」「思いがけず、話がとんとん拍子で進む」といった使い方をする。
「とんとん」なんだか響きがかわいいと感じるのは、私だけでしょうか(笑)
でも、これで、長女に教えあげることができる気がします♪
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